離婚後の住宅ローン控除はどうなる?手続きや注意点・ケース別に解説!
離婚によって、生活環境だけでなく、経済的な不安も大きくなってしまいますよね。
特に、住宅ローンを抱えている場合、離婚後の住宅ローン控除はどうなるのか、非常に気になります。
今回は、離婚後の住宅ローン控除について、様々なケースを想定しながらご説明します。
住宅ローン控除と離婚の関係性・基本的な要件
住宅ローン控除の適用条件とは?
住宅ローン控除は、住宅取得のための借入金の返済によって生じる税負担を軽減する制度です。
正式名称は「住宅借入金等特別控除」といい、年末の住宅ローン残高の一定割合(0.7%)を所得税から控除できます。
節税効果が大きく、住宅購入の経済的負担を軽減する重要な制度です。
しかし、この控除を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。
主な条件は以下の通りです(令和6年1月1日現在)。
詳細は国税庁のウェブサイトをご確認ください。
住宅の新築または取得の日から6ヶ月以内に居住し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること。
住宅の床面積が50㎡以上(特例住宅は40㎡以上)で、床面積の2分の1以上を自己居住用に供していること。
控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること。
住宅ローンの返済期間が10年以上であること。
生計を一にする親族などからの取得ではないこと。
贈与による取得ではないこと。
離婚した場合の住宅ローン控除の受給要件の変化
離婚によって、住宅ローン控除の受給要件に影響が出るのは、主に「居住」に関する条件です。
離婚後も引き続き住宅に住む場合と、住まなくなる場合で、控除の受給状況が変わってきます。
具体的には、住宅ローンの名義人が誰なのか、誰が住み続けるのか、といった点が重要になります。
離婚による居住状況の変化と控除
離婚によって居住状況が変化した場合、住宅ローン控除の適用要件である「引き続き居住していること」を満たせるかどうかが、控除を受けられるかどうかの分かれ目となります。
名義人が居住を継続すれば控除を受けられますが、そうでない場合は、状況に応じて名義変更や借り換えなどの手続きが必要となる可能性があります。
離婚後のケース別解説・注意点
名義人が住み続ける場合
離婚後も住宅ローンの名義人が住み続ける場合は、住宅ローン控除の適用要件を満たしているため、引き続き控除を受けることができます。
この場合、財産分与で住宅の評価額とローン残高の精算が行われます。
住宅の評価額がローン残高を上回る場合は、差額が財産分与の対象となりますが、逆にローン残高が評価額を上回る場合は、残りのローン返済は名義人が負担することになります。
名義人が住まなくなる場合・財産分与
名義人が住まなくなる場合、控除を受けるためには、居住条件を満たす必要があります。
例えば、財産分与で住宅を取得した配偶者が住み続ける場合、その配偶者は控除を受けることができます。
しかし、名義人が家を出て、他の家族が住み続ける場合は、名義変更や借り換えなどの手続きが必要となる可能性があります。
手続きには金融機関の審査が必要となるため、事前に金融機関に相談することが重要です。
共有名義の場合
夫婦で共有名義で住宅ローンを組んでいた場合、離婚後も住宅に住み続ける名義人は引き続き控除を受けられます。
しかし、住まなくなる名義人は控除を受けられません。
この場合も、名義変更や借り換えを検討する必要があります。
負担付贈与の場合
負担付贈与とは、贈与と同時に一定の負担(例えば、住宅ローンの残債の返済)を負わせる契約です。
住宅ローン控除の要件に「贈与による取得でないこと」とあるため、負担付贈与で住宅を取得した場合、住宅ローン控除は受けられません。
住宅ローンの名義変更手続き
名義変更は、金融機関の審査が必要です。
借入者の信用情報や返済能力が審査の対象となります。
審査に通れば名義変更が可能となり、新しい名義人は控除を受けることができます。
住宅ローンの借り換え
借り換えは、新たな住宅ローンを組む手続きです。
既存のローンを完済し、新たなローンを組むことで、名義変更や返済条件の変更が可能です。
借り換えによる住宅ローン控除の受給は、新たなローンの条件が控除要件を満たしている場合に可能です。
返済期間が10年未満にならないよう注意が必要です。
まとめ
離婚後の住宅ローン控除は、居住状況や名義、財産分与の方法など、様々な要因によって大きく影響を受けます。
この記事で紹介したケース以外にも、複雑な状況も考えられます。
そのため、離婚を検討されている方は、事前に税理士や弁護士などの専門家に相談し、ご自身の状況に合った適切な手続きを行うことを強くお勧めします。
2025.02.28