相続法の改正内容と遺留分の見直しについて解説します!
相続法をはじめとする各種法律は、家族構造の変化や社会環境の進展に合わせて変化していくものです。
中でも遺留分の制度は、相続人の保護と故人の意思の尊重という二つの大切な価値をバランス良く保つための重要な機能を担っています。
この記事では、2018年の相続法改正内容とそれに伴う遺留分制度の見直しについて解説します。
□相続法の改正内容とは?
ここでは相続法の改正について、5つの内容を解説します。
1.配偶者居住権の新設
2018年の相続法改正では、配偶者の保護を目的として配偶者居住権が新設されました。
これは、配偶者が住み慣れた家に一定期間住み続けられる権利であり、相続が開始された際に、配偶者が安心して生活を続けられるよう配慮された制度です。
この居住権の設定は、配偶者の社会的弱さを補うとともに、安定した生活基盤を保証するための大きな一歩と言えるでしょう。
2.婚姻期間が長い夫婦への配慮
また、婚姻期間が20年以上の夫婦に対しては、居住用不動産の贈与に関する税の優遇措置が設けられました。
これにより長年連れ添った夫婦が互いの財産を有効に活用できるようになるため、経済的な負担の軽減が実現します。
3.預貯金の払戻し制度
これは、相続人が故人の預貯金を容易に引き出せるようにするための制度であり、相続手続きの簡素化と迅速化を図るものです。
これにより、相続人は故人の預貯金を迅速に利用できるようになり、相続に伴う金銭的な不安の軽減が可能になりました。
4.自筆証書遺言の方式緩和
自筆証書遺言の方式緩和は、遺言をする際の手続きを簡単にし、より多くの人が自分の意思を遺言によって明確にすることを促す改正です。
これにより、故人の意思がより正確に反映されるようになり、相続におけるトラブルの減少が図られます。
5.遺留分制度の見直し
遺留分制度の見直しは、相続人の保護と故人の意思尊重という相続法の基本的な価値をより適切に反映させるための改正です。
遺留分の概念自体が変わることで、相続人の権利がより適切に保護されることになります。
□相続法改正における遺留分制度の見直しについて解説
ここでは、相続法の中でも特に遺留分制度の見直しについて解説します。
*遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へ
これは、遺留分権利者が遺留分を侵害された場合、不動産の具体的な財産の返還を求めるのではなく、侵害された額に相当する金銭の支払いを求められるようになったことを意味します。
この変更により、相続財産の分配がより柔軟に行われるようになり、相続における紛争の解決が容易になることが期待されます。
*基礎財産の算定方法の明確化と範囲の変更
これにより、遺留分算定の基礎となる財産の範囲がより明確になり、相続人が遺留分を主張する際の計算が容易になります。
また、生前贈与に関する規定も見直され、相続人の不意の負担が軽減されるようになりました。
□まとめ
今回紹介した2018年の相続法改正は、相続に関するさまざまな問題に対応するための重要な一歩です。
特に遺留分制度の見直しは、相続人の権利保護と故人の意思の尊重という相続法の基本的な理念を実現するためのものです。
相続法の改正に伴うこれらの変更を理解し、適切に対応しましょう。
2023.12.25